コロポックルの手帳

20代後半,独身,モテない,男が好きなことを書く.

初めての海外一人旅 ミャンマー5 ~エーヤワディー船旅~

2019年1月1日

4時30分頃起床

バガン行きの船のチェックインが6時であったため,新年早々4時過ぎに起床.この日は一日かけてマンダレーからバガンへ川を下り移動する日であった.当たり前だが,外はまだ暗い.

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用意を済ませて,ホテルのロビーに降りる.ホテルロビーは24時間対応とのことであるから,大丈夫だと思っていたのだが,受付には誰もおらず,その代わりにソファーで寝ている人がいる.受付に早朝なのでちょっと控えめの声で呼びかけても誰も出てこないし,寝てる人が宿泊客だったら申し訳ない(毛布をかぶっているので服がわからない),というビビり心もあり,一度部屋に戻り,部屋からロビーに電話を掛けた.電話を掛けると返事があったので再度ロビーに降りるとやはり先ほど寝ていた人がスタッフだった(笑).

朝早いのにすまんのぅと思いながらもチェックアウトの手続きを済ます.一通り終わった後に,今ようやくやっと夢からさめたように,若い男のスタッフが,

「Ah,Happy new year!」

と笑顔で言ってきて非常にかわいかった.自分としても,あまり気にかけていなったので,突然新年おめでとうと言われてびっくりしたが,彼に明けましておめでとうございますと伝えた.

 

5時10分ホテル発

タクシーを呼んでもらい,船着き場を目指す.

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なんだかんだトゥクトゥクタイプのタクシーは初めて乗った.ちょっと高かったが,チケット見せたら,周辺の人にここで合っているかを確認して,自分に船着き場を教えてくれた.

 

5時30分 船着き場着

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船着き場に止まる船.まだ暗いのでよく見えないが,少し坂を下り船の入り口まで行く.

自分が乗る船かどうかはわからないが,これしか止まっていないので,乗船してみることに.入り口でスタッフにすれ違ったが,軽く会釈したら止められなかったので,まぁ間違ってはいないのだろう.船の中は乗客らしき人はいないが,スタッフが何名か働いていたので,とりあえずチケットを見せたら,ここで待っててくれってことだったので,船内で待機.

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あまりいい写真はないが,船内の様子.

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チケットをよく見ると,出発は6時30分である.チェックインタイムの6時は6時からチェックイン開始って意味だったのだろう.この時点で5時30分だ.一人待機する乗客,完全にあほである.

6時を過ぎると,乗客が中に入ってくる.やはり欧米人ばかりだ.一組だけ日本人らしき人がいる.全員で20人ぐらいか.再度スタッフにチケットを見せる.ヤンゴンで喧嘩別れした旅行代理店で発行したチケットだったので腹いせに勝手にキャンセルされていないか不安だったが,さすがにそんなことはなく,新年早々ほっと肩をなでおろす.なんとかバガンまで行けそうだ.

 

乗客は乗ってくるなり荷物を置いてどこかに行ってしまう.どうやら船の2階の屋外席に行っているようであった.少し寒いが,自分も景色を見たいのでテラス席へ行く.

 

6時30分 出航

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まだ暗いエーヤワディー川を下る.

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初日の出がもうすぐそこまでやってきている.2019年最初の日の出.それを日本から遠く離れたミャンマーのエーヤワディー川の上で見ることになることになるとは...まぁ,1月1日以外に日の出を見る日なんて無いんだけど.

自然を見るツアーなどではよくあることであるが,出発して1,2時間ぐらいがこの川下りのハイライトとなる.日が高くすべてが見えてしまう日中よりも,暗さ故より生き物や自然の息遣いが感じられる夜や,待ち遠しかった日が昇り次第に周りが見えてくる期待感に満ちた早朝,そして再び日が沈んでしまう前の夕暮れに美しさを感じるものだ...なんて語ってみた.

そして確かに2019年初の早朝は静かに流れる大河エーヤワディーから見る今年最初の日の出への期待感と,日の出前から川面に映るミャンマーの大地,それを包む早朝の靄で非常に幻想的な景色を見たと言える.

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もうすぐだ.もうすぐだ.船上でみんなが朝日を待ち望んだ.

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そしてついに2019年の日の出だ.2019年1月1日6時50分.船上屋外席にて拍手が起こる.なんて美しい景色だ.この時間のために船旅をしてよかったとさえ思える.

ここでマンダレー側の日の出ばかりを見ていたが,反対方向へ目を移す.

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サガインの街並みだ.黄金のパゴダや仏教寺院が丘のふもとから頂上までいくつも存在しているのが見える.朝日を浴びて輝く建築物が美しい.

マンダレー周辺にはマンダレーに遷都される前に都だった都市が点在している.サガインもその一つで,地球の歩き方によると1760年から1764年までの短い期間都だった都市だ.古都という響きには非常に心をくすぐられる(というのはこの旅の一年後に行くことになるスリランカ地球の歩き方,古都キャンディの記載の引用だ.ちなみに言うとスリランカ地球の歩き方はかなりキザな文章が多いと思う.).今回は時間がなかったので行くことはできなかったが,いつかまた来た時はマンダレー周辺の町を楽しみたい.

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これがサガインヒルなのだろうか.朝もやの中淡く輝いて見えるサガインヒルの仏教建築物と,川面に映るさらに淡い影.夢のような美しさだ.

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さらに進むと黄金のブッダ.仏塔は金ぴかだが,仏像で金色に装飾されているのは初めて見た気がしなくもない.

そこからまたさらに進むと正面に見えるのは,インワ鉄橋だ.

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船に乗る人と,インワ鉄橋.一生この地で生きていくだろう彼らは世界中から旅人が集まったこの船をどうゆう目で見つめているのだろう.一心にこちらを見ている.船の横を通るとき彼らは手を振ってくれた.

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本当はミャンマーでは橋や空港など国の所有物を撮影するのは禁止らしい.民主化する前の名残がまだ残っている.そのうちそんなおかしなこともなくなるだろう.

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インワ鉄橋と変わった形のパゴダ.

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インワ鉄橋を振り返る.ここまでの朝もやの中見た美しい景色はまるで夢のようであった.

7時30分 朝飯

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落ち着いたところで,スタッフから朝飯が支給される.というか,セルフサービス..一度下の席に行ったが,誰もおらずみんな2Fテラス席にいる.写真がいきなり現実的になる.

 

この先しばらく,のどかな農村景色や草原が見える.

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草で作った人口の島?で作業をする人たち.

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小舟で釣り?をする人.

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小舟と,その奥の草原.

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こんなところにも鉄塔が.ミャンマーはびっくりするぐらい携帯の電波が届いてきている.のどかな景色と文明の利器にギャップを感じる.

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大きな木と,牛に車を引かせ農作業をする人.

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小さな村とその奥に見える黄金の仏塔.

こんな景色を眺めながら写真を撮ったり読書をしたりゆっくりと過ごした.すれ違う船からは現地人,観光客問わずみんな手を振っている.とても幸せな時間だ.途中で欧米人がカウントダウンを初めて,ハッピーニューイヤーって言ってた.そうか,ヨーロッパはまだだったのか.どこの人だったんだろう.

 

12時 一時休憩寄港

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観光ツアーではよくあるやつだ.途中の村により,お土産を買わせる時間.よく見ると船は結構ぎりぎりまで岸に着けるんだな.喫水は大丈夫なのだろうか...

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着いた村は小さな村だ.道路の真ん中で豚が寝ている.スタッフについて村を周る.

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こんな村にも小さい仏塔が.ミャンマー人は本当に敬虔な仏教徒で感服する.

村は陶器を作っている村であった.

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陶器の形を整える女性.

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陶器の説明をするスタッフ(左の水色のベストの人)と見学する乗客.

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干してある陶器.

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"Welcome to Yandabo"

どうやらヤンダボっていう村みたいだ.手作りの陶器がかわいい.

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現地人の家.人の家だったので近くで撮るのがはばかられたため映っていないが,家族の写真が飾ってあった.ここで生まれた子たちは一生ここにいるのであろうか.それとも,町に出て行ってしまうのだろうか.こんな村でも電波が届いていた.スマホを手にしたら街に出てしまうんだろうな.

 

13時 出航

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村の子供たちが見送ってくれた.彼が指差す先に何があるのだろう.ピントなどはさておき,我ながらいい瞬間を切り取れた気がする.

 

13時10分 昼飯

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出航してすぐ昼飯だ.チャーハンと焼きそばみたいなもの.セルフサービスだったので,ありがたく2杯目もいただいた.

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岸が崖になっている.朝は寒かったが,昼を過ぎた今一番暑い時間だ.疲れてエアコンの効いた1F席で休憩する人も多かったが,あえて屋外席の日のあたる椅子で本を読んだ.

すぐ近くに,日本人の2人組がいる.自分よりは一回り上ぐらい(30半ばぐらい)のカップルか夫婦.先ほどの村滞在の際に彼らが日本人だということが分かった.朝の幻想的な風景や楽しい船旅に夢中で忘れていた焦りが,昼過ぎに太陽に照らされたかのように急に思い出された.金欠なのだ.ミャンマーでは日本円からミャンマーチャットに交換できないので,ドルを用意しておかなくてはいけないのだが,ドルが切れてしまったのだ.当然ミャンマーチャットもバガン入域料(2万5千チャット)払うとすっからかんだ.彼らに何とか,日本円とミャンマーチャットを交換してもらうしかない...

そう思ってからしばらく動けずにいた.せっかく新年日本人のいない旅先に二人で出てきて,のんびりしているところに自分みたいな汚い日本人がいきなり金欠なので日本円とミャンマーチャットを交換してくださいとか言ってきたら,は?って思うかもしれない.しかもこの時自分は目をけがしていて,非常に醜い姿となっていた.

ただここで行かないと,バガンで後悔する.旅の恥は掻き捨てだ!そう心に強く言い聞かせ,チェアで寝ている彼らに話しかける.

「すみません,日本の方ですよね?大変お恥ずかしくて恐縮なのですが,ミャンマーチャットとドルを切らしてしまい,金欠なのです.調べたところバガンでは日本円からチャットに交換できなそうなので困っています.私は日本円なら持っていますので,もしよろしかったら日本円とチャットを交換していただけないでしょうか.」

男性は表情を変えずに言う.

「そうなんですか.僕らも今ミャンマーチャットが無いので,すぐに交換することはできません.もしよろしかったら,バガンで両替するのでそのあとでもよろしいでしょうか.バガンに着いたら一緒に両替所に行きましょう.」

男性はどちらかというと,さばさばした感じしゃべり方ではあったが,自分のためにわざわざ両替所に行ってくれるなど,非常に親切な方であった.女性の方はとても優しそうな方で終始心配そうにこちらを見ていた.本当に助かった.何とか,ミャンマーチャットは手に入りそうだ.これで入域料を払ってその先何もできずという状況は免れそうだ.

そして彼らが,やはり自分との交流を望んでなさそうであったので,話が終わると自分はすぐに自分のいた席に戻り平静を保っているように本を読み始めた.その手は少しであるが震えていた.安心と喜びによる興奮が理由であるが,ほんと何でもないことに緊張してしまうのは卒業したい.

船は進む.

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チェアとエーヤワディー川.日差しがきつい.

 

16時 パコックー橋通過

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また大きな橋が見えた.後で調べたらパコックー橋というらしい.

大分,日も落ちて一日の終わりをかすかに感じ始める時間になった.

さらに一時間後,日中暑かった太陽が夕日になった.

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誰もがバガンに近づいたことを感じ始めてまた全員が,テラス席に出てきた.

 

17時10分 久々に仏塔が見え思わず写真を撮る.

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日の出前から乗ってきた旅もそろそろ終了だ.

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夕日とバガンの遺跡の影.

 

17時30分 バガン到着

11時間の船旅であった.船は一切揺れることはなく,快適な旅だった.朝焼けから夕暮れまで船に揺られていた.

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バガンの船着き場にて

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これが乗ってきた船だ.11時間,楽しい時間をありがとう!

船を降りると船着き場にはすでにタクシー運転手がたくさん待機しており,声をかけてくる.”レイター”とだけ答え,まだ船から降りていない先ほどの二人を待つ.先ほどの二人に再度感謝を告げ,タクシーで一緒に街に向かおうとするが,ここのタクシー明らかにぼったくりだ.男性の方が,一歩も譲らず値段交渉している.すごい.彼と値段交渉しているタクシー運転手は江口と書かれたジャージを着ていた.多分日本の中学校のジャージのお古だろう(笑).江口さんと彼の交渉は決裂し,とりあえず街の入り口まで歩くこととする.ちょっと歩くと,入域料を払う施設があったので,とりあえず2万5千チャット(日本円だと2000円弱)払う.これで一文無しだ!ここでチャイニーズ?と聞かれる,初めてだ.すぐちかくでタクシーを捕まえ,両替所を目指す.自分の泊まるところは安宿街でバガンの入り口であるニャウンウーという村だったが,彼らの宿はバガンの奥のニューバガンの方であった.ニャウンウーは彼らの通り道であるので,両替所に行った後,自分の宿まで送ってもらえることになった.ほんと至れり尽くせりだ.ありがたい.名前を聞くと,二人とも名字が違っていた気がしたので,お仕事の仲間ですか?と聞くとそうでもないというので,これ以上は触れないでおいた.

 

今となっては,よく覚えていないが彼らが損するぐらいのレートでお金を交換してくれた.さらに,タクシー代は払わなくていいよと言っていただき,本当に恐縮した.後で感謝がしたくて別れ際に連絡先を渡してタクシー降りたが,特に連絡はない.とても素敵な方々であった.自分もそうゆうことができる人になりたい.

 

18時30分頃 宿着

インワモーテルという宿だ.両替所からすぐそばにあり,本当に町の入り口って感じのところにあった.宿に荷物を置き,飯を食いに行く.

歩いて5分ほどのところにレストランがあったので入る.おすすめは?って聞くとココナッツ好きですか?って言われたので,ココナッツカレーを食べることに.おじさんの店員だったが,ミャンマー人男性って本当に人当たりがよい.言葉,雰囲気がやわらかい.

 

19時 夕飯

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すごくおいしかった.量も適量(先週スリランカに行った後だから思う.)!

帰り際近くの小さな商店による.

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楽しいのつきひ??

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上のやつは買わないで(笑),ヒマワリの種をあげたつまみとビールを買う.

晩酌ビールで幸せな2019年を感じた.

この二日後に,飛行機でヤンゴンに帰ることになるのであるが,その途中で飛行機がマンダレーとヘーホーというところを経由した.その時,バガンマンダレー間は一瞬であり非常に驚いたのだ.地図を見てみると直線距離150kmしかない.時間に余裕が無い人はこの距離に一日をかけるというと無駄なことに感じると思う.ただ,そんなことは思えないくらい素敵な時間だった.日本で大河を下り旅行なんてできるだろうか.大河を下り旅をするというミャンマーならではのロマンあふれる素敵な旅することができてよかった.

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この日の移動.船旅75$.若干ぼられている(笑).